宅地の石垣·擁壁の崩壊防止業務を開始しました
大雨で石垣·擁壁が崩れています
住宅の不同沈下事故は当事者間の民事事件で、多くは金銭で解決できます。しかし、擁壁崩壊は民事だけでなく、刑事事件となり、擁壁所有者が法により罰せられる可能性があります。
日頃、目にする擁壁の多くは、築造から50年以上経過しています。
この間に背面、足元の地盤が変質し、コンクリートが脆くなり、水抜き穴も詰まっています。
この劣化した擁壁に、たびたび豪雨が襲い掛かっているのが今です。
この崩れを少しでも減らすことは、今必要で、事前の判断や対策によって防げるケースが有ります。
隣家への土砂の流入
道路への土砂の流入
崩壊が発生した場合、その責任はすべて所有者にあります
まず「既設擁壁の診断」をおすすめします
これは、その気になれば素人でもある程度は出来ます。
- ステップ① : 擁壁の健全度·耐力の自己チェック
以下の2つの資料を用いて、所有者自身が擁壁の状態を確認できます。これは健康診断でいう問診に相当するもので、目視による診断を主としています。
- 「宅地擁壁の健全度判定・予防保全対策マニュアル」(国土交通省、令和4年4月策定)
- 「宅地の災害耐力カルテ」(WASC基礎地盤研究所発行)
「宅地擁壁の健全度判定・予防保全対策マニュアル」は、国土交通省ホームページ ( https://www.mlit.go.jp/toshi/toshi_tobou_tk_000069.html)で公開されており、誰でも入手可能です。ただし、その内容は一般の個人が理解するには難しく、自治体の防災担当者を対象としたマニュアルであると考えられます。
一方、「宅地の災害耐力カルテ」は、国交省のマニュアルを参考にしつつ、弊社がこれまで被災地で得た知見や経験を基に、診断内容を独自に追加したものです。
これらの資料によるチェックの結果、「このままで大丈夫」と判断されれば安心です。そうでない場合は、専門機関による精密診断が必要です。
- ステップ② : 現場調査
安定計算に必要な数値を現地で取得する作業であり、個人で行うのは困難です。
- ステップ③ : 診断
取得した数値に基づき安定計算を実施し、NG箇所を特定します。
計算するとほとんど次の理由によりNGになりますが、慌てないこと。
- 築造時と現在の擁壁に対する考え方が違う
- 地盤が劣化している(特に背面土)
- 排水機能の劣化(水抜き穴)
- ステップ④ : 改修設計
NG箇所が安全基準を満たすように補強設計を行います。
住宅であるため制約がありますので、所有者と十分な協議が必要です。
制約は概ね次です。
- 工事費用
- 隣地・隣家敷地に入って仕事ができるか?
- その他:庭の広さ、植栽の状況、排水経路他
- ステップ⑤ : 改修工事
設計に基づいた補強・改修を実施し、安全性を確保します。
この時、従来からある擁壁補強、新設の工法を、そのまま採用できることはほとんど有りません。
それは「高額な費用」と「施工場所に合致する工法が無い」からです。
これに向かうのは設計者の「知恵」と「知的好奇心」です。
当社では、調査・診断業務とあわせて、実務者向けの勉強会も実施しています。
既存擁壁に関する二つの業務を開始しました
“正しい診断で根拠ある安心を届ける”
その2 “既存擁壁の調査、診断勉強会2026”の開講
・・・本勉強会は実務者向けであり、基礎的な解説は行いません・・・
昨年初開催で、埼玉県戸田市と大阪府茨木市の2会場で開催し、
各会場15名程のご参加をいただきました。
- 計算書ではOK になっていたが、傾いた
- 見た目では問題が無かった
- 確認申請で指摘されたが、意味が分からなかった
こうしたケースは、実際の現場で数多く発生しています。
擁壁は「大丈夫そう」に見えても、前提条件や判断のズレによってリスクを抱えていることがあります。本勉強会では、 実務で判断できる力を身につけることを目的に、
- 擁壁の調査・診断
- 安定計算の考え方
- 実際の判断基準
を、演習形式で体系的に解説します。
【こんな方におすすめ】
- 住宅の設計・施工に携わっている方
- 擁壁の判断ができない方
- 安定計算ができるようになりたい方
- 事業範囲を拡大したいと考えておられる方
- 築造から50年を超え劣化した擁壁が多い
- 気候変動期、擁壁に天敵の豪雨が度々
・・・防止業務は近々の社会貢献です!!
【この勉強会で得られること】
- 擁壁のリスクを見抜く視点
- 安定計算を実務に落とし込むカ
- 調査~診断~対策までの判断基準
「なんとなくの判断」から、現在の法律、規準等に基づいた判断ができるようになります。
【講座内容(全4回)】
- 1)基本事項と法規.危険度の見方(第1回)
-
- 宅地造成規制法/盛土規制法
- 擁壁を必要とする地盤条件
- 既存擁壁の目視チェックと判定方法
- 2)クーロンの土圧の理解(第1回)
-
- 土圧の基本(Pa・Pp・φ・cほか)
- 土クサビの考え方
- 擁壁に対する水の影響
- 3)自立擁壁の理解と安定計算(第2回)
-
- 転倒・滑動・支持力の考え方
- 重力式およびL型擁壁の計算安定計算【演習】
- 4)もたれ擁壁の理解と安定計算(第2回/第3回)
-
- 試行クサビ法による安定計算【演習】
- 形状、上載荷重の違いと安定計算【演習】
- 示力線方程式による安定計算【演習】
- 5)既存擁壁の調査と改修設計(第4回)
-
昨年より内容を少し広く、深くしました。
このため4回で終われない場合、追加講座を開催する可能性が有ります。
- 6)基調講演(第4回)
演題 「宅地の健全性と盛土規制法」
講師:二木 幹夫氏 (一般財団法人ベターリビングつくば建築試験研究センター総括役)
建設省建築研究所にて、施工管理・地盤・基礎分野の研究に従事。
その後、一般財団法人ベターリビングにて、つくば建築試験研究センター所長、常務理事などを歴任。
盛土・宅地防災に関する国の検討会において委員長等を歴任し、制度設計と技術基準の両面に精通。宅地盛土地盤分野を牽引してきた専門家。
【本講座の特徴】
- 少人数制(各回20名)
- 一方通行ではなく、理解しながら進めます
- 実務者向けの内容
- 現場で使える判断力にフォーカス
- 演習中心
- 「聞いて終わり」ではなく、実際に使えるレベル
【受講にあたって】
本講座では理解を深めるために、
を行います。
その分、実務レベルで使えるレベルまで理解できる内容になっています。
【なぜ今、擁壁の理解が必要か】
近年、盛土規制の強化などにより、既存擁壁の評価・判断の重要性は高まっています。
一方で、現場では、
- 判断基準があいまい
- 各人の経験に依存しているため、判断結果に整合性が無い
といったケースも少なくありません。
だからこそ、体系的に理解しておくことが重要です。
開催概要
| 会場 |
最寄り駅 |
開催月日(4回開催) |
茨木市市民総合センター (大阪府茨木市駅前4-6-16) |
JR京都線 茨木駅 阪急京都線 茨木市駅 |
第1回:6月19日(金) 第2回:7月16日(木) 第3回:8月6日(木)
第4回は決まり次第 お知らせいたします |
戸田市文化会館 (埼玉県戸田市上戸田4-8-1) |
JR埼京線 戸田駅 |
第1回:6月23日(火)
第2回:7月23日(木)
第3回:8月25日(火)
第4回:9月10日(木) |
講師 髙森 洋(株)WASC基礎地盤研究所 取締役会長
住宅基礎・地盤分野に56年従事。
近年は既存擁壁の調査・診断、改修設計に熱中。
実務と文献の両面から体系化した「擁壁診断技術」を解説。
【受講者の声】
- 詳細で実践的な調査方法を学ぶことができました。
- 実際の現場での対策実例や実情を具体的に知ることができた。
- 自身で2m以下擁壁の安定計算をできるレベルまでになった。
- 既存擁壁の調査手法についても、実務で使えそうだと思った。
【お申し込み】
受講申し込みはこちら(PDF)
- 少人数制のため、定員になり次第締め切りとなります。