4. 施工の流れ
既存のコンクリート2回打ちの施工方法と何がどう違うのか?Mat基礎の施工の流れを試験施工の様子を用いて示します。
- 遣り方
- 根伐り
- 地業
- 捨てコン打設
遣り方から捨てコン打設までの工程は従来のベタ基礎と全く同様ですので、ここでは説明を割愛します。
5配筋
配筋は従来の工法と異なり、図2・3に示す通りです。従来工法の多くは通り芯=縦筋芯ですが、Mat基礎では通り芯=縦筋外面とすることで、スラブ筋外面の被り厚を通常より少し大きく取ります(写真3)。
図2 通り芯と鉄筋の位置関係
図3 A部拡大図
写真3 実際の配筋の様子
6打ち止め板の取り付け·耐圧版のコンクリート打設
Mat基礎の肝である耐圧版コンクリートと立ち上がり部の独特の打ち継ぎのため、樹脂製の打ち止め板を外周部の鉄筋に沿わせて取り付けます(写真4・5)。
これにより、耐圧版コンクリートの端部が凹凸に打ち上がり(写真6・7)、後から打設する立ち上がりコンクリートと咬み合うことで、一体打ちと同等の強度を持つ基礎となりますが、この強度については「構造性能確認実験」で示します。
写真4 打ち止め板の取り付け
写真5 耐圧版のコンクリート打設
写真6 耐圧版の端部が凹凸で仕上がった様子
写真7 耐圧版の端部が凹凸で仕上がった様子
7外周型枠建て込み·Mパネル取り付け
外周基礎外側にH750の鋼製型枠を建て込んだ後、その内側にMパネルを吊り込みます(写真8)。Mパネルが鋼製型枠から浮くと施工不良の原因となるため、きっちり型枠に押さえつけて固定します。
写真8 Mパネル吊り込みの様子
8立ち上がり部のコンクリート打設
型枠と耐圧版の隙間部分(図4・写真9)の確実な打設に注力しながら立ち上がり部全体の打設に進みます(写真10・11)。隙間部分の施工性を考慮して、粗骨材の最大径を20mmと規定しています。
また、Mパネルは端部を重ね合わせながら鋼製型枠に押し付けて固定しているため、重ね合わせ部分が浮くとMパネルと鋼製型枠の隙間にコンクリートが漏れ出しますので、漏れ出しにも注意しながら基礎天端まで打ち上げます(写真12)。
図4 型枠と耐圧版の隙間
写真9 型枠と耐圧版の隙間
写真10 型枠と耐圧版の隙間への打設
写真11 充填と空気の追い出しに注力して打設
写真12 Mパネルを抑えながら打設を続ける
9脱枠(写真13~16)
外周基礎外側については、鋼製型枠を外すとMパネルが基礎に貼り付いた状態になっているので(写真13)、続けてMパネルを剥がし取ります(写真14)。すると、基礎表面にMパネルの模様が転写されて仕上ります(写真15・16)。
写真13 脱枠(外周外側の型枠を外した状況)
写真14 脱枠(Mパネルは簡単に外せます)
写真15 基礎完了
写真16 基礎完了
10 10 竣工(写真17~18)
写真17・18は、上部構造が完成し、外構工事も終えた状況です。
写真17 外構工事完了の様子
写真18 外構工事完了の様子